○中種子町文化財保護条例
昭和53年6月28日
条例第21号
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき,法及び鹿児島県文化財保護条例(昭和30年鹿児島県条例第48号。以下「県条例」という。)の規定により指定された文化財以外の文化財で町の区域内に存するもののうち町にとり重要なものについて,その保存及び活用のために必要な措置を講じ,もって郷土文化の向上に資することを目的とする。
(1) 建造物,絵画,彫刻,工芸品,書跡,典籍,古文書その他の有形の文化的所産で町にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
(2) 演劇,音楽,工芸技術その他の無形の文化的所産で町にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
(3) 衣食住,生業,信仰,年中行事等に関する風俗習慣,民俗芸能,民俗技術及びこれらに用いられる衣服,器具,家屋その他の物件で町民の生活の推移の理解のために欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
(4) 貝づか,古墳,都城跡,旧宅その他の遺跡で町にとって歴史上又は学術上価値の高いもの,庭園,橋梁,峡谷,海浜,山岳その他の名勝地で町にとって芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地,繁殖地及び渡来地を含む。),植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然現象の生じている土地を含む。)で町にとって学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
(財産権の尊重,他の公益との調整)
第3条 中種子町教育委員会(以下「教育委員会」という。)は,この条例の執行に当たっては,関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに,文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
第2章 文化財保護審議会
(設置)
第4条 文化財の保存及び活用,文化財に関する調査,研究その他第1条の目的を達成するために中種子町文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置くことができる。
(任務その他)
第5条 審議会に関する任務構成その他必要な事項については,教育委員会規則で定める。
第3章 中種子町文化財の指定
(1) 有形文化財 中種子町指定有形文化財(以下「指定有形文化財」という。)
(2) 無形文化財 中種子町指定無形文化財(以下「指定無形文化財」という。)
(3) 民俗文化財 中種子町指定有形民俗文化財(以下「指定有形民俗文化財」という。)又は中種子町指定無形民俗文化財(以下「指定無形民俗文化財」という。)
(4) 記念物 中種子町指定史跡,中種子町指定名勝,中種子町指定天然記念物(以下「指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)
2 前項の規定による指定をしようとするときは,教育委員会は,あらかじめ指定しようとする有形文化財,民俗文化財又は記念物の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし,これらの者が判明しない場合は,この限りでない。
3 教育委員会は,第1項の規定により,無形文化財を指定無形文化財として指定しようとするときは,保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
8 教育委員会は,無形文化財を指定無形文化財として指定した後においても,指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めたときは,そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(解除)
第7条 指定文化財が,指定文化財としての価値を失った場合その他特別な理由があるときは,教育委員会は,その指定を解除することができる。
2 指定無形文化財の保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合,保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特別の理由があるとき,教育委員会は,当該保持者又は保持団体の認定を解除することができる。
3 町指定文化財について法及び県条例の規定による文化財としての指定があったときは,町指定文化財の指定は解除する。
4 指定無形文化財の保持者が死亡又は保持団体が解散消滅したときは,当該保持者又は保持団体の認定は解除する。
5 指定無形文化財の保持者のすべてが死亡したり,保持団体のすべてが解散したときは,指定無形文化財の指定は解除する。
6 前2項の場合,教育委員会は,その旨を告示しなければならない。
(所有者の管理義務及び管理責任者)
第8条 指定有形文化財の所有者等又は保持者は,この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い,指定有形文化財等を管理しなければならない。
2 指定有形文化財等の所有者は,特別の事情があるときは,適当な者を自己に代り当該指定有形文化財等の管理に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)に選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任したり,解任した場合,指定有形文化財等の所有者は,速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
4 管理責任者には,第1項の規定を準用する。
(所有者及び保持者の変更)
第9条 指定有形文化財等の所有者が変更したとき,新所有者は,速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 指定有形文化財等の所有者又は管理責任者は,その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは,速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
3 指定無形文化財の保持者が氏名若しくは住所を変更し,又は死亡したときは,保持者又はその相続人は,速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
4 指定無形文化財の保持団体が名称,事務所の所在地又は代表者を変更し,構成員に異動を生じ,又は解散したときも,代表者(保持団体が解散した場合は,代表者であった者)についても,同様とする。
(滅失,損傷等の届出)
第10条 指定有形文化財等の全部又は一部が滅失し,若しくはこれを亡失若しくは盗み取られたときには,指定有形文化財等の所有者(管理責任者がある場合は,その者)は,速やかに教育委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第11条 指定有形文化財及び指定有形民俗文化財の所在の場所を変更しようとするときは,所有者(管理責任者がある場合はその者)は,速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし,教育委員会が定める場合は,この限りでない。
(現状変更等の制限)
第12条 指定有形文化財及び指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは,教育委員会の許可を受けなければならない。ただし,現状の変更については,維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置をとる場合,保存に影響を及ぼす行為については,影響の軽微である場合は,この限りでない。
4 指定有形民俗文化財に関しその現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は,あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(土地の所在等の異動の場合)
第13条 指定記念物の指定地域内の土地についてその土地の所在地,番地,地目又は地積に異動があったときは,所有者(管理責任者がある場合はその者)は,すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
第14条 記念物は,無断で捕獲採取してはならない。
(修理)
第15条 指定有形文化財及び指定史跡名勝天然記念物を修理しようとするときは,所有者又は管理責任者は,あらかじめ教育委員会にその旨を届け出なければならない。ただし,教育委員会が定める場合は,この限りでない。
2 指定有形文化財及び指定史跡名勝天然記念物の保護上必要があると認めるときは,教育委員会は,前項の届出に係る修理に関し技術的な指導と助言をすることができる。
3 指定文化財の修理は,教育委員会の指示に従い,所有者が管理責任者がある場合は,当該管理責任者が行うものとする。
(管理又は修理の補助)
第16条 指定文化財の管理,保存又は修理につき特に必要と認める場合は,予算の範囲内で所有者又は管理責任者,保持者,保持団体若しくは保存に当たることを適当と認める者に対して補助金を交付することができる。
2 前項の補助金を交付する場合は,補助の条件として,保存,管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに,必要があると認めるときは,当該保存,管理又は修理について指揮監督することができる。
(2) 補助金の交付を受けた目的以外の目的に補助金を使用したとき。
(3) 前項の補助の条件に従わなかったとき。
(公開)
第17条 教育委員会は,指定有形文化財及び指定有形民俗文化財の所有者に対し,期間を限って,教育委員会の行う公開の用に供するために当該町指定文化財の出品を勧告することができる。
2 前項の規定により指定有形文化財及び指定有形民俗文化財が出品されたとき,教育委員会は,管理の責任者を定めなければならない。
3 教育委員会は,指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し,当該指定無形文化財の公開を,指定無形文化財及び指定無形民俗文化財の記録の所有者に対し,その記録の公開を勧告することができる。
4 第1項の規定により公開したことに起因して,当該指定有形文化財及び指定有形民俗文化財が滅失し,又は損傷したときは,町は,その所有者に対し,その通常生ずべき損失を補償する。ただし,所有者又は管理責任者の責めに帰すべき理由によって滅失したり損傷した場合は,この限りでない。
5 第1項の規定による公開に要する費用は,予算の範囲内でその全部又は一部を町の負担とする。
(報告及び調査)
第18条 教育委員会は,指定文化財の現状又は管理若しくは修理の状況について必要と認めたときは,当該所有者又は管理責任者に対し報告を求め,又は所有者の同意を得てこれを調査することができる。
(記録の作成)
第19条 教育委員会は,指定文化財の保存のために必要があると認めるときは,指定文化財について自ら記録を作成し,保存し,若しくは公開し,又は適当な者に対して当該資料の記録の作成,保存若しくは公開に要する経費を予算の範囲内で補助することができる。
(所有者変更に伴う権利義務の承継)
第20条 指定有形文化財等の所有者が変更したときは,新所有者は,当該指定有形文化財等に関し,この条例に基づいてする教育委員会の勧告,指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承諾する。
2 前項の場合には,所有者は,当該指定有形文化財等の引渡しと同時に,その指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
(土地の所在等の異動の届出)
第21条 指定史跡名勝天然記念物の指定地域内の土地について,その土地の所在,地番,地目又は地積に異動があったときは,当該土地の所有者又は管理責任者は,速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(標識等の設置)
第22条 教育委員会は,町指定文化財の管理に必要な標識,説明板,境界標,囲さくその他の施設を設置するものとする。
(罰則)
第23条 指定有形文化財を損壊し,廃棄し,又は隠匿した者は,50,000円以下の罰金又は科料に処する。
2 指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をして,これらを滅失し,損傷し,又は衰亡するに至らしめた者は,50,000円以下の罰金又は科料に処する。
第4章 補則
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は,教育委員会規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は,昭和53年7月1日から施行する。
(条例の廃止)
2 中種子町文化財保護条例(昭和38年条例第12号。)は,廃止する。
附則(平成4年条例第6号)
この条例は,平成4年4月1日から施行する。
附則(平成17年条例第17号)
この条例は,公布の日から施行する。